#014: スパイラルダイナミクス第一層

『未来の世界を想像するチャンネル』今日のテーマですけども、
ずっと話したかったテーマになるんですが、
人間の発達段階っていうものが、未来において大きなポイントになるかなというあたりを、
お話ししたいと思います。
これはまだ僕も全然勉強中なので、まだまだ曖昧なところもいっぱいあるんですけども。

一つにはですね、この200年後の未来っていう、僕が描くその世界の中にいる人それぞれが、
最初にお話ししたように「人間にとってこの自然の地球の中でどういった役割を持っているのか」っていうものを設定されて、それを受け止めて、それを表現しているっていうことが前提になっている。

いえばそれは、多くの動植物とか、地球上に生命が生きている、その中にあって、
一番最後に参加した人間というこの種が、その既にいる多くの動植物の自然の中で、
最適にみんなが過ごしていけるようにバランスを作っていく役割を持つ。

それを人間自身がそういう役割なんだというふうに自覚して、
その地球とか、動物、植物一つ一つにアプローチできていける、している、
そういったものの文化とか文明、そういったものが作り出されている世界だというイメージがあるんですね。

それを「しっかりと受け止めて表現できる人間」であるためには、
一人一人の精神的な自己の発達段階というものが、
今以上に発達していないといけない、というか、発達していたいよね、
というふうに思っているんですね。

その発達って何なのかというと、
僕の中で一番いま頭の中にあって、ぴったりくるマップのようなものが、
発達心理学とか、自己の意識の発達段階、そういったものをモデル化された
「スパイラル・ダイナミクス」というモデルがあるんですが、
それが結構大きなビッグピクチャーというか、マップになるのかなというふうに思っています。

そこにはそれぞれ、いろんな 8つから 9つぐらいの段階が名前と色とともに分かれているんですけれども、
それはいえば、1つが終わって次に行くという、単純な段階ではなくて、
「超えていると同時に含んでいる、包み込んでいるものなんだ」というふうな認識になります。

これだとちょっと分かりづらいかなと思うので、
一つひとつ、この「スパイラル・ダイナミクス」というものがどういった段階なのか
一つ一つちょっと読みながら話ができればなと思います。

ベージュ

最初が古代的・本能的な段階。

一人一人の人間が、生命の維持活動のために安全を重視する。
その本能を一番最初に用いる段階、「生存のための集団」を形成するとか。
それがまず一つ目の、古代(アルカイックな)本能的な段階、
これが一番最初の元の元。一番下にあるもの。

パープル

アニミズム的、呪術的な思考、「大地は世界はさまざまな呪術的精霊に満たされている」
というふうな段階になっているというところです。

で、一つひとつ…先ほども「包み込む」という話をしたんだけど、
このベージュからパープルに行った時には、
まったく趣向も表現の方法も違うんだけども、
ベージュという本能的な段階というものはちゃんと備わっている。
備わっていながら、その次の段階というものがパープル、呪術的でアニミズム的な段階。
いわば、血統とか親族関係に基づいて定められるような政治関係とか、
部族的集団。そういったものが二番目のパープル段階。

レッド

三番目になると「レッド」という、「力」に基づく封建帝国的な社会。
王族であるとか、力強くて、封建的な服従とか、
そういったところがある世界。もしくは価値観。それが三つ目のレッド。

呪術的でアニミズムも含んで超えた上でレッドになっている。

ブルー

レッドの次の段階が「ブルー」。遵守的で規則的な段階。
絶対的な秩序があるとか、行動規範には従わなければいけないとか。
規範やルールを破れば、重大な罰を受ける必要がある。

具体的な例で書かれているもので言えば、
ピューリタン時代のアメリカとか、儒教時代の中国とか、シンガポールの厳格な罰則規定、
全体主義、騎士道または、武士道もそうだね。そういった行動規範。
絶対的な「〜すべき」というものがちゃんと記載されて、
その中で秩序が定められているもの。これが四番のブルーという段階。

このブルーというのは、
一番最初にあったベージュ、パープル、レッドを超えて含んで、ブルーになっている。

オレンジ

ブルーの次。今の社会の勢力としては一番この辺り、この次が多いと言われているんだけど、
その次の五番目が「オレンジ」があって、このオレンジは科学的な達成の段階と言われている。

いわば法人・国家であり、科学的な手法や仕組みを学ぶ、達成主義。
そういったところが多いと。いわば今の現代の社会で最も多い割合としては、
このオレンジ段階じゃないか、みたいなことも、
僕が今、参考にしている『インテグラル心理学』という本には書かれていたりします。

このオレンジの科学的達成を踏まえて、
それを超えて含んだ先に、ある次の段階が「グリーン」。

グリーン

グリーンはコスモポリタンのような共同体主義、
エコロジーへの関心とか、価値の共同体。感受性豊かな自己の段階。
スピリチュアリティとか、そういった新しいものをよみがえらせて、世界に調和をもたらす。

ある程度の多元的相対主義、というものを好むところですね。

合理的なもののルールを超えた次には、こういったグリーンがあって、
より今のコミュニティのあり方とか、より平等な、それぞれ一人一人の主張を好む、
賛同しながら「私はこうです」というふうになっていく。
そこが一つのグリーンの段階かなと思います。

人間らしい絆を重視したり、エコロジーへの関心が強かったり、ネットワーク的に思考するとか。
強欲性や独断的なものから解放されており、冷たい合理性ではなく、気持ちやケア、

あとは大地や生命、そういったものを大切にして、ヒエラルキーに反対する。

階層的な組織ではなく、横方向のつながりを形成する。

これがグリーンの段階。

いわば、ポストモダニズム、ディープエコロジー、ロジャース派のカウンセリング、人間性中心主義とかですよね(正しくはクライアント中心主義)、
人間性心理学、解放のもの(解放の神学)、グリーンピース…
そういったものが基本にこのグリーンになるのかな、というお話です。

第一層から第二層へ

で、このグリーンの次にさらにあるんですけども、
ここから先っていうものが、さらに大事になってくる。

いま言っていたグリーンまでが「第一層」と述べられているところで、
第一層から第二層へ、というちょっとした飛躍があるみたいなんですけど、
このグリーンを経た先にならなければ、この先に行けない。

それが次の「イエロー」、その次が「ターコイズ」というふうに二つあって。

で、僕がイメージする200年後の世界というのは、
このグリーンの段階も終わっていて、
最低限イエロー、そしてターコイズ。
その先の、人間の発達も十分見える世界なのかな、
と思ったりしているイメージがあります。

このあたりをゆっくりね、また自分も勉強しながら、
この番組の中でもゆっくりと考える時間を持ちながら、
話ができればいいのかなと、自分でも思ったりしているんですけども。

 

インテグラル心理学
著者:ケン・ウィルバー(Ken Wilber)
出版社 ‏ : ‎ 日本能率協会マネジメントセンター