#015: スパイラルダイナミクス第二層
『未来の世界を想像するチャンネル』、昨日に引き続いて
「スパイラル・ダイナミクス」というところのお話をしたいなと思います。
スパイラル・ダイナミクス第1層おさらい
昨日の話のちょっとおさらいから少ししていくと、
第1層・第2層っていうところの、人間の発達、自己の発達っていう 8つから9つになる段階というのがあり、
それをモデルにして考えていくことによって、未来の世界の人間というのがどの段階に達しているのかなというのが、見えてくるのかなぁと思ったりしている、というところでした。
前回、昨日の話では、その第1層のところまでお話ししたんですが、
その第1層を軽くちょっとおさらいしたいと思います。
まず、一番下にある、下層にあるものが「ベージュ」。
これは生存のための本能的な段階ですね。生存のための集団を形成するための段階がベージュ。
その次、2番目が「パープル」。
これは部族的な集団とか、呪術的・アニミズム的な段階。
3つ目が「レッド」。
力強く、能力を持った人が支配する、封建的な帝国的な考え方というか、そういった段階。
続けて4つ目が「ブルー」。
ブルーというのは絶対的な秩序、父権主義、
何が正しいのか、何が間違っているのか、その原理が存在して、行動規範がある。
5番目が「オレンジ」。
このオレンジではブルーのところ(ブルーにおける群集心理)から脱出して、
個人としての心理・意味を探し求める。
科学的達成という形で、科学的な手法であるとか、達成主義的な傾向、
ゲームに勝利した者は、敗北した者よりも高い地位と特別な報酬を得ることができる。
そういった関係が支配する段階。
6つ目が「グリーン」。
グリーンというのは、感受性豊かな自己の段階。
共同主義的なところで、エコロジーへの関心とか、ネットワーク的な思考。
人間の強欲さとか、ドグマ、独断的な考えから解放されていたところであり、
冷たい合理性ではなく、気持ちとか、気遣い、ケア、そういったものが大切になってくるところ。
価値の共同、平等主義的な傾向。
そういったものがグリーンに当てはまるというところです。
このグリーンまでが、いわゆる第1層の思考、という説明があります。
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第1層の性質
で、この第1層というところの次が、今日のテーマになる第2層なんですけども、
その第2層に行くまでに確認しておきたいところが、この第1層の在り方ですね。
ここがちょっと大切なことが書かれているので紹介したいと思います。
いわゆるこのベージュからパープル、レッド、ブルー、オレンジ、グリーン。
この6つの層までは、それぞれの段階、どれも
「独力では他の段階を十分に尊重することができない」
というような定義がされている段階のようです。
これはどういうことか、というと、
ベージュにはベージュの見方があり価値観がある。
で、ベージュに対してはパープルやレッド、ブルー、グリーン……
それ以外の段階においては許容できない、認められない。
それはレッドから見てもそうだし、ブルーから見てもそうだし。
そういったように、他の段階を、この第1層のそれぞれの段階では、
十分に尊重できない、という見え方になっているところです。
今、僕が手に取っている 「インテグラル心理学」 の本の中には、例としてこう書かれています。
ブルーの秩序にとっては、レッドの衝動性も、オレンジの個人主義も非常に不愉快である。オレンジの個人主義から見れば、ブルーの秩序を信じるのは騙されやすいカモだけであり、グリーンの平等主義とは、軟弱な人間のためのエセ理論でしかな。そしてグリーンの平等主義にとっては、能力や価値への順位付け、大きな地図(ビッグピクチャー)、あるいは権威主義的に見えるものは何であれ、受け入れることが難しい。それゆえグリーンは、ブルーにも、オレンジにも、そしてグリーン以後の段階にも、強く反発するのである。
(P155, インテグラル心理学)
こういった形で、ベージュ、パープル、レッド、ブルー、オレンジ、グリーン……
それぞれの段階に達していると、それ以外の段階を尊重できない。
いわば「敵対してしまう」「認められない」。そういう形になってしまう。
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第2層/意識の転換
第2層になった時に、見え方が大きく変わってくる。
いわばこの第2層においては、
「それぞれの段階には、それぞれ求められている役割がある」
ということを了解した上で、理解していく、という段階になる。
第1層にいる限り、どの層においても尊重はできないが、
第2層に入ることで、「すべての段階にはその役割や、求められるものがある」
という理解で、受け入れる、受け止められるようになる。
ここが、第1層と第2層の大きな違いになるというところです。
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第2層:イエロー
人生とは万華鏡のようなものである。そのパターンをつくるのは、おのずと生まれてくるさまざまな階層やシステム形態である。柔軟であること、自発的であること、機能的であることが最も重視される。差異や多元性は統合されて、自然な流れ(フロー)をつくり、さまざまな流れが相互に依存し合っている。自然な優秀さは存在するのであり、こうした見方によって、平等主義は補完される。力や地位や順位づけや集団よりも、知と能力が重視される。世界が現在の姿になっているのは、現実とはさまざまな段階(レベル)から構成されており、人々が発達のダイナミックな螺旋(スパイラル)を上がったり下がったりすることは避けられないからである。こうした諸段階は次第に複雑になっていくものであり、入れ子状の階層構造を形成している。
P157, インテグラル心理学
これがいわばイエローの統合的な段階。
つまり、第一層のすべてのレベルを受け入れた上で、
こういう統合的な見方が初めて成り立つ段階、ということですね。
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第2層:ターコイズ
その一つ上が「ターコイズ」。これはホリスティックな段階、と書かれています。
世界全体を包括するホリスティックな体系を生み出す。さまざまな統合的エネルギーが、ホロン構造をなしている。感じることと知ることは、ひとつに融合される。多様な段階が織り合わされて、単一の意識システムを形成している。普遍的な秩序は存在するが、それは外面的な規則(ブルー)でもなく集団の絆(グリーン)でもなく、生命や意識の中に表現されるものである。「大いなる統一」を実現することは、理論的にも実際的にも可能である。時に、新たなタイプの精神性/霊性(スピリチュアリティ)が生み出される。
それは、すべての存在が網目細工(メッシュワーク)のように絡み合っているという認識に基づくものである。発達の螺旋(スパイラル)全体を踏まえて思考し、多種多様なレベルの相互作用が存在していることを認識する。どんな組織の中にも、調和を見出し、神秘的な力を感知し、フロー状態が遍満していることを見抜く。
P157-158, インテグラル心理学
というところが、このインテグラル心理学の中に書かれている
スパイラルダイナミクス8個目、ターコイズの例。9個目以降は書かれていないことになります。
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第2層の意義
もう一つ話すとすれば、
この第2層の思考がなければ、ミーム同士の闘争が終わりを迎えることはない、と。
第1層では、それぞれの段階が
「自分の見え方こそが一番良い」と思ってしまうので、
他の段階を尊重できない、闘争が起きてしまっているので、
それを終わらせるためには、第2層の思考に至らなければ終わることはない。
第2層の意識なくして、人類にとっての“自己免疫疾患”的な問題は治せない、
というふうにも書かれています。
第二層の思考がなければ、覇権を求める段階(ミーム)間の闘争が終りを迎えることは決してないだろう。それはいわば、人類にとっての「自己免疫疾患」なのであり、第二層の意識なくして、こうした病理を癒やすことはできないのである。
P159, インテグラル心理学
このあたりが、僕がイメージする未来の世界とマッチするところです。
第2層に至る人間が多く存在することによって、
初めて地球に存在する動物、植物、そういったものを尊重しながら、
人間がバランサーとして機能する地球。
そういう役割なんだ、と理解して、受け入れて、行動する、生活することができる。
そのためには、第1層でいろんな闘争になってしまうよりも、
第2層に至った人が、いかに増えなければいけないのか、と思ったりします。
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ビッグピクチャーのモデルの扱い方の難しさ
こういったビッグピクチャー、大きな地図にあたる
このスパイラルダイナミクスというモデルって、
使い方がすごく難しいな、というのも個人的には思います。
このスパイラル・ダイナミクスというモデルをどう使うか、というところも
一人一人の発達段階というものが見えてくるのかもしれない。
例えば、ブルーの秩序的な段階から見れば、
「このモデル自体が正しい、唯一の理論」というふうに考えて、
人をレッテル貼りにする、人の序列、誰が上なのか下なのか、
判断の根踏みのようなものに使うことになりがちになるかもしれないし。
僕もこういったモデルを意識したときに、
そういうふうに見えやすいし、使いやすいので、
これは自分でも気をつけたいなと思ったりしています。
あと、それぞれこのスパイラル・ダイナミクスというのは、
全部の層を一つ一つはどれも 「超えて含む」ということを尊重して書かれているんですが、
第1層の中にいる限り、この「超えて含む」ということそのものを
理解できない可能性があるのかなと思います。
というのも、第1層はそれぞれ独力で他の段階を尊重できないんですね。
なので、例えばブルーの段階にいる人が、
下にあるレッド、パープル、ベージュというものが、
自分の中にあるということを理解することができなくなっている。
グリーンにいる人も、その下にあるオレンジ、ブルー、レッド、パープル、ベージュ、
ここがあると、そこがそういう役割があるということを
理解できない、になってしまうと、「超えて含む」ということそのものを理解できなくなる、
というのがやっぱりあるのかなと思うので、
この「超えて含む」という、そのものの
スパイラルダイナミクスの理解を得るためにも、
第2層として、全体として見えていくことが必要になる見え方なのかな、と思ったりしています。