30秒ドローイングを始めて分かったこと

30秒ドローイングを始めて分かったこと

一時期毎日描くときに用いていたPosemaniacsですが、

3D独特のツルツルした光源や骨と筋肉による人体描写、

今ひとつリアリティに欠ける人体構造などに飽きてしまい

人間らしい肉感 – 線を求めて離れていました。

 

ですがポーズ数、アングルの多さという2点から

改めてこの2週間ほど前から描くためのストレッチとして

30秒ドローイングを再開しています。

 

 

この30秒ドローイング、

名前のとおり30秒という時間制限の中で特定のポーズを描いていくのですが、

30秒という短い時間で、ある程度描き上げるのはなかなか困難です。

 

あまり考えずに描くことだけに専念していたのでは上達速度が遅いので、

この30秒ドローイングに必要な能力として、最近になって分かったことを書いてみます。

 

  • 全体の形状からポイントとなる流れを即時に掴む能力
  • 短時間で最適な線、形状を見極める能力
  • その線を即座に記憶しておく能力
  • 線を意図した場所に正確に描ける能力
  • 言語で対象を捉えない能力

 

こうした能力がポイントなるといえるでしょうか。

一つ一つ解説してみます。

 

 

  • 全体の形状からポイントとなる主線を即時に掴む能力

 

まずポーズが表示された時、主線となる動線を掴むことが必要になります。

基本は人体の中心線だと思いますが、ポーズによっては腕や足の流れまで含みます。

単純な立ちポーズであれば、その中心だけ掴めばいいのですが、

このような複雑なポーズだと、主線が複数になったり複雑になります。

できるだけこれは一本に絞る方がいいのでしょう。

これはポーズの骨子となる線ですので、間違えたらバランスが崩れやすいと言えます。

この線をもとにして体のボリュームや腕や足などの細部の構成を描いていくことができます。

http://posemaniacs.com/pose/sit19_f_v45_h0/pose_0003.jpg
主線を描く

主線を描く

 

  • 短時間で最適な線、形状を見極める能力

時間無制限ならじっくり全ての線、面を見て描けますが30秒しかないのでそうはいきません。

主線をまず捉えたら、次にこのポーズを描くための必要最低限の要素に取捨選択し、

特定の線、形状として見極めることが求められます。

これができなければ一部分を描いているうちに時間切れになります。

まずは全体の体のボリューム、そして頭の位置(顔の方向と首との位置)、腕と足の長さと関節です。

ほぼいつもこれだけで30秒経ってしまいます…。

ですがこれができるようになると、細かい描写に入っていくことができる基礎が出来上がるというわけです。

要素を描く

要素を描く

 

  • その線を即座に記憶しておく能力

線を把握しても描いているうちに忘れてしまっていては描き進めません。

見極めた主線や特定の線をきっちり記憶しておくことも欠かせません。

曖昧に「こうだったかな」で進めると、たいがい間違っているので書き直す分がロスになります。

 

  • 線を意図した場所に正確に描ける能力

これは絵がうまい人の必要最低限の能力になると思います。

意図した場所に意図した線を正確に描ける。これができればたいがいどんなものも描けます。

しかし簡単な丸ひとつ描くことも案外むずかしいもの。

顔の角度や首と肩との位置を考慮して、顔のベースとなる丸を描くだけでも幾度と無く訂正が入ってしまいます。

これは慣れるまで描くしかない、量の問題、経験の問題とも思えます。

ですのでプロの人のアドバイスとして「いつでも手を動かしておく」ということをよく目にしますが、

このアドバイスが意味するものは、

必要な場所に必要な線を正確に描けるための訓練、と言い換えることができるでしょう。

30秒ドローイングは、この線を正確に描く訓練としては、最適とも思えます。

 

  • 言語で対象を捉えない能力

これは30秒ドローイングが「右脳」を用いた訓練であることから思ったものです。

言語で対象を捉えない、とは、

ものを見て頭の中で「これは頭だから首と肩との位置からこうなる」とか

「斜め上方から見たポーズだから足は腰のこの位置から見える」とか

言葉で解釈しない、ということです。

ただ見えたそのままを描く。

これは簡単そうに見えて非常に難しいことです。

なぜなら普通に描く作業には必要不可欠な、

人体理解を通じて描くということをしないわけですから。

 

 

 

「見えるものの対象を、解釈を差し込まずにありのままに見る」という態度は、

絵を描くだけでなく、日頃から養っておくとよい能力と思えます。

自分の頭を優先しすぎて解釈ばかりしていると疲れますからね。

 

こうして解説してみたものの、

僕自身こうした能力はまだまだ身につけておりません。

焦らず身につけていきたいと思います。

 

それにこうした能力は、頭のなかにあるビジョンを描く、

というプロの人々にとって土台となるものだと思えますので

学びがいがありますね。

 

 

ちなみに主線や形態を把握することについての資料をネットで見つけました。

http://www.conceptart.org/forums/showthread.php/271251-The-Official-Quickposes-Thread?p=3947417#post3947417

内容は英語ですが、まぁ見れば分かります。

 

このスレッドのQuickposesは、人物写真を素材としたポーズ練習用サイトですが

Posemaniacsと同じような時間を設定したTimed gesturesというコンテンツがあります。

時々訳の分からないポーズが出てくることもありますが、

僕はこちらでは60秒でやっています。

 

http://www.quickposes.com/gestures/timed