音のない花火

神宮でやっていた花火大会が、働いているところから垣間見えた。
すこし遠くに、光だけが瞬いてる。
それはあまりにも非現実的に見えた。
花火の、天を力一杯叩きつける「音」の存在がない。
見ながら抱いた違和感、それはリアリティの欠如。
あの体を震わす「音」こそ、なによりの醍醐味。
僕はそれゆえに花火が好きだ。
しかしこの欠如感、光の瞬きだけの静かな空、
幻想的でよいものでもあるかもしれない。