手のひら

むしろ 手のひらをこそ 見据えるべきである
彼は最後にそういった
白い顔して 長い手をのばして
太陽から身を隠すようにして
古びた瓦礫のなかから出てきては
麦を手にして 大地を這っていた
高い 高い 木の枝の向こう側
風が通り過ぎ 影が揺れた 土ぼこりの中 
父はそこから生まれた
手のひらを見ることはできない
合わさったまま はなれられない