定常的な社会というもの
現代の異常な成長・拡大傾向を超えた未来には
定常的な社会の姿が思い浮かびます。
こちらの記事では、
人類は「拡大期」と「定常期」を繰り返しており、
現代は3つめの「定常期」にあたると語られています。
人類の歴史は、人口と経済が大きく成長する「拡大・成長期」と、人口・経済ともに大きな成長はないけれど、持続可能で文化的な発展が見られる「定常期」を交互に繰り返してきました。
そして、人口減少社会の先に訪れるはずの定常社会は、人類史3度目の「定常期」に当たります。
「拡大・成長」から「定常」の時代へ! 千葉大学・広井良典教授に聞く「リスクをポジティブに捉えるためのヒント」 [ぼくらの未来シナリオ]
広井良典教授が話されている区分をまとめてみました。
第一期「拡大・成長期」・・・狩猟・採集によって食料を得て暮らし、それによって個体数を増やしてきた時代。
第一期「定常期」・・・獲物や収穫物をとり過ぎた結果、人類は食料問題・環境問題に直面した時代。「心のビッグバン」、ラスコーの壁画に象徴される文化の萌芽。
第二期「拡大・成長期」・・・約1万年前に始まった農耕により豊富な食料を生産する技術を手にした時代。人口が増え、余剰生産物によって社会が階層化し、権力・国家の原型が生まれた時代。
第二期「定常期」・・・過剰な食料生産により土地から生産力を奪う結果となり、再び食糧問題・環境問題に直面した紀元前5世紀ごろ。インドでの仏教、中国での儒教や老荘思想、ヨーロッパでのギリシャ哲学、中東での後のキリスト教につながるユダヤ教といった「枢軸時代」と呼ぶ精神革命が起こった時代。
第三期「拡大・成長期」・・・ここ300年から400年続く経済活動の拡大。18世紀後半から進展した産業革命時代から現在に至るまで。
第三期「定常期」・・・20世紀後半より現在。
とても分かりやすい区分ですね。
定常期のきっかけにはいつも環境問題がでてくるあたり
人類のどうしようもなさが見えますが(笑)。
その定常期に必要な動きの一つとして
上記の記事の中では「ローカル」があげられています。
「ローカル」による「共助」を強化することで、「公助」の負担を減らすとともに、人と人との結びつきを強める効果が期待できると考えています。
ローカル化が今後の社会の基本になることは
間違いないなぁと思っています。
なぜなら人間の生活や肉体の適用範囲は常にローカルな範囲においてであって、
情報技術テクノロジーが取り扱う、電子データがグローバルに飛び交う状況は
人間の欠かすことの出来ない要素、それ自体ではないからです。
また拡大・成長期に通用していた既存の価値観の力が失われることで、
過去の2回の定常期で生まれたような
精神的・思想的な飛躍が求められるでしょうし、
それはこちらの広井良典教授が「精神的な拠り所」と語られているように
すでにある宗教的・文化的思想を土台としつつ
新しい思想哲学が形成されるのだろうと思います。
そうしたものがどのようなものになるのかは分かりませんが、
どのように社会生活の中に落とし込まれるかというところへ考えると
やっぱり僕には「自然」が大きなキーワードになるような気がします。
それは単に自然信仰とか自然への畏怖だけではなく(それも非常に大切な感情ですが)
暮らしのひとつひとつが
自然との密接な関わり方を持っている姿です。
テクノロジー技術も
現代のイメージのような人工的な姿ではなく、
非常に自然とのつながりが欠かせないものとして存在しているような。
(部品やエネルギーが自然素材という程度だけでなく)