#022: 地域社会圏主義のテーマ1,2

『未来の世界を想像するチャンネル』(未来では)どういうふうな世界の中に生きているのかなと、暮らし、コミュニティ、なんかその辺りを今日はテーマにしようかなと思います。

これまでにしか、新宿のような高層ビルが立ち並ぶ無数にあるような都市の中、その役割を終えた地域において、静かにゆっくりと、100 年という長い時間をかけて、土地の風土に合わせたように緩やかに、あらゆる今の現代の文化が解体し、溶け合っていく。

植物の力とか土とか、風とか、そういう自然の力にゆっくりとやられながら、解体していく。
まあ、そういったイメージがあったんですね。

そこで、じゃあ、暮らしている人たちの姿というのは、どういうふうなあり方になるのかな、というところです。

この僕が未来の世界というものを想像した時に、このきっかけになった、本、3 冊ほどあるんですが、そのうちの一つに、『地域社会権主義』という、建築家の山本理顕さんが中心に書かれた本がありまして、これは僕、結構面白いなと思っているんですが、そこに書かれている、地域社会圏という一つのは、新しいコミュニティのあり方というか、くくり方、それを建築によって提案しようというふうなことがされています。

ここにね、10 点ほどその<テーマ>というのが書かれてはいるんですけども、それを一つ一つ読みながら、半分くらいかな、今日と明日 2 回に分けてゆっくりと、イメージを深めていきたいなと思ったりしています。

まず、一つ目。

1―「一住宅=一 家族」が標準家族を前提として供給されるのであるとしたら、「地域社会圏」は必ずしも家族を前提としない(P007, 『地域社会圏主義』INAX出版 以下同)

いわば戦後になって、ああいう団地とか、今供給されている新築の建物、家、いろんなところありますよね。

東京の僕の住んでいる近くでも、数年前までは公園だったり、田畑というか、畑があるところがあったりしたんですが、そこがあっという間に開発されて、似たような建物が、10 件、20 件、一気に立ち並ぶ、村のようなものができていたり、そういうのもあったりしますよね。

そういった家っていうのは、当たり前のように、一つの住宅に一家族。一住宅=一家族。
これは大前提として、開発もされているし、研究もされているし、設計されて、供給されていますよね。

でもここで言われる地域社会圏は、必ずしもその一住宅に一家族という、そこにある建物は一つの家族という前提ではない、と。

なので、家族という、家族像ですね。今、戦後からずっとある核家族っていう、最小単位では父親がいて、母親がいて、子どもがいる。その単位っていうところなんですが、本当に少し前だったり、地方を離れたりすると、地方の方ではその単位も少しずつは今も当たり前だけど、もう少し広い家族の在り方っていうのがあったりしますよね。

同時に、都心では、一住宅に一人とかね、もっと少ない人間の関わりになってくるかもしれないけども、そこで言えるのは、やっぱり家族っていう単位。これは、血縁とか、そういったところにも関わってくるのかな、と思います。

一夫一妻制っていう社会制度、文化、そういったことにもつながってくる。

別に地域社会圏主義が、家族が解体されて、大きな人数が家族になっているような、そういったイメージは全然ないんだけども、でも家族という単位って、もう一度改めてなんだろうな、ということを考え直すには、住宅から考える、在り方として考えるというのは、とてもいいなと思いますね。

そうしてみると、僕が描く 200 年後の世界のイメージって、そういうふうに複数の家族の在り方が成立しているし、今の最小単位の家族っていうもので、いろんな家族の在り方、人の付き合い方があるのかなと思ったりします。

でもここで一方でとても大事なのは、子どもが育てられるという、そこの環境がしっかりと整っているということが、何よりも大切だろうなと思います。

またいろいろ話をしながら、こういった子どもが生まれて、赤子の頃から少しずつ成長しながら、愛着対象というか母親、育てる相手と、しっかりと絆を結びながら成長していく。そこには常に愛情を注いでくれる相手がいて、まだ何も言葉とか、自分でできないことを周りの人が一生懸命、あれかなこれかなというふうに推測しながら、その子を育て上げていく。

そういった環境というのは、まず特別な一人の愛着の対象。僕は母親であると思うんだけど、そういった相手というのが欠かせない。人にとってはおそらく欠かせないんだろうなと思うので、その仕組みというものがしっかりと担保された上で、なおかつ最小単位の核家族という、閉じられやすい構造でもない。なんかそういったイメージで出るといいのかなと思います。

今の閉じられたというところの話でいうと、地域社会圏主義の方では、

2―「一住宅=一家族」がプライバシーとセキュリティをその中心原理として供給されるのに対して「地域社会圏」では、そこに住む人たち全体の相互関係を中心原理にする。(P007)

いわば核家族、今でいう一家族というところのセキュリティ、プライバシーがしっかりと守られること。これはとても大切な一方、それがあまりにも壁が強固でありすぎると、隣が何をしている人なのか全くわからないという、それによって何か起こった時に何も手助けができないというか、交流が全くないような状況。

それはそれで、果たして自然なんだろうかというのも感じますよね。

こういった、ある程度のコミュニティ。複数の人間が関わりながら住んでいる場所で、その特定の多くの、何人かの住んでいる人たちの相互の関係。そういったものが原理となり、その交流、その中でより大切なあり方。一人一人のあり方、子どもの育ち方。母親とか、そういった人たちの支え。そういったものっていうのが多く権利になっていると、とてもいいなと思ったりもします。

 

地域社会圏主義 増補改訂版
出版社 ‏ : ‎ トゥーヴァージンズ (2023/10/31)
発売日 ‏ : ‎ 2023/10/31
本書はLIXIL出版より2013年に刊行された「地域圏社会主義 増補改訂版」の復刊となります。