山が火事で燃え上がる日

一羽の鳥が自分のくちばしの中に水を貯えては
1滴、また1滴と燃え上がる火の中へ落としていく
そこである動物は言う
そんなことをしても無駄だ
その鳥は言う
自分にできることをしているだけ
しかしさらに別の動物は言う
それは自己満足だ 火が消えなければ何の意味もない
さらに別の動物は言う
どうやって火が消えるのか 
それを考えて実行するのが
本当の自分にできることというのだ
それを考えずに ただ実行すればよいというわけではない
別の動物は言う
結果こそが大事なのだ
結果から現在を 私たちの活動の意味を
つくりださなければならない
君の行為は単なる衝動だ
衝動はあまりにももろいものだ
この時に及んでその行為はむしろ滑稽ですらある
別の動物は言う
まず検証こそ大事だ
あの山の火は本当に消えるのか?
私たちに消せることができるのか?
それに答えなければいったい何の行為に意味があるだろう?
別の動物は言う
きみたちがとやかく言っている
この瞬間にも山はますます燃え盛っている
実際に火事を食い止める手段を講じないあなたちに
彼を非難することはできない
別の動物は言う
講じている
私たちは常に考えているのだ
常に最前の方法を模索しているのだ
決して燃えている山から目を背けている訳ではない
別の動物は言う
我々が1滴、1掴みの水をまく水量
火が辺りの草木を燃やし尽くすスピード
どう考えても消える訳がない!
そもそも我々に自らの手に水をすくってまく以外
なにができるというのだ
別の動物は言う
山の形と炎の向きからして山の東側は全焼してしまったようだ
風の向きからみて今後はさらに南にかけて大きく火が広がる可能性がある
しかし北側さえ残っていれば山はまた復活するかもしれない
なぜなら北には新しい芽吹きの種がこの春に根付いたばかりだから
北側をこれ以上山に火が広がらないように
風上の地面と草木を水で浸すように濡らせば
まだ山は守れるかもしれない
別の動物は言う
北一面を水に浸すなんてそれこそ無理だ
ぼくらの小さい手でいくら水をひっかけても
北に着くまでに手は乾いているよ
別の動物は言う
雨が どしゃぶりの雨が降ってくれることを祈るのだ
もはや我々の祈りしか
火を消せることはできない
別の動物は言う
逃げろ!
議論よりも 検証よりも 結果よりも 祈りよりも
自分の身こそ大事だ
どんなに火が広がっても大丈夫な
安全な所へ非難することが先決だ
別の動物は言う
山が燃えたってどうってことないさ
永遠に燃える訳じゃないだろ
ほっとけよ いつか勝手に消えるから
それよりも昨日の遊びを続けようよ
別の動物は言う
彼はあんなに非難されても
自分のできることをやるといって実行している
僕にはそんな勇気なんてない
そんなことできっこない
別の動物は言う
お前もこの水を持ってついてこい!
別の動物は言う
燃やされる前に土を 草木の種だけでも
避難させるんだ
それは未来だ
この山が燃えて消えてしまっても
土と種があればまた新しい山ができる
・・・
山の火事は消えたのでしょうか?
そしてそれは本当に大事なことなのでしょうか?