谷川俊太郎さん
「智慧の実を食べよう。」という本を読み終えた。
これは2003年、ほぼ日刊イトイ新聞の主催で同名の講演会イベントを本にしたもの。
心理学者の詫摩武俊氏、詩人・文芸評論家の吉本隆明氏、野球解説者の藤田元司氏、小野田自然塾塾長の小野田寛郎氏(終戦を知らされないまま戦後30年経って日本に帰還して話題になった人です)、そして詩人の谷川俊太郎氏といった人たちがゲストだ。
僕がこの本でもっとも印象深かったのが、谷川俊太郎さん。
「ノンセンス(無意味)というのは手ざわり。」
「実存的な問題を扱うと、みんな真剣になっちゃうんですね。実存的なそういう人間の根本にかかわる問題をできるだけユーモアを持って扱うというのが、私のポリシーなんです。」
と書かれていた。
これがとても今の僕に響いたんです。
無意味ということを、僕は僕なりに自分の人生観や生きる意味の中において考えているんだけど、それはとっても浅はかなんだろうなとか、今の自分の生活や世界観に繋がってないなーとか、そこにある、忘れていた気持ちよさを思い起こしてくれた感じだった。それはなにかしら、わからないなりにやさしいものなんだってこと。
前後に載っていた俊太郎さんのいくつもの詩も、その話ひとつひとつが、自分がどうありたいのかを頭でなく、心で感じさせてくれたような。
言葉のリズムが中心の、愉快な小さな詩たちを読んで、
もう7年とか8年とか前になるかもしれない昔、警備員のバイトで暇な場所で立ってるとき、なにげなく頭の中に浮かんだ言葉をそのまま小さいノートに書き留めて、詩のような、ごっこをしていたのを思い出した。無意味のままに、書いてた楽しさを。
実存的なテーマをユーモアを持って、という言葉も、今もまだまじめな顔して考えすぎていて、堅苦しかった感じの制作態度にはねかえってくる感じして。
今、ずっと自分の将来のビジョンを追っている。
けれど何も確かなものはでてこない。ありえるかどうかではなく、そうありたいと本心から言える、見れるものがない気ばかりして。
そこから一歩進めるための、小さなヒントをもらった気がした。