
あまりにも多様な切り口が成立する展覧会
5/24(土)、東京の京島で開催されている『第3回刑務所アート展』のイベントで、自分がファシリテーター役を務めさせていただいた「わたしたちのあいだにあるもの-刑務所アートを見ること、語ること、わかちあうこと-」が無事に終わりました。
対話の場は、僕たちファシリテーターをいれて5名と小規模ながら、お一人お一人が刑務所アート展をみて感じたことを、この場でシェアしてもらいながら、いろいろな思いや考えが巡らされる、とても豊かな時間を過ごすことができたと思っています。
一緒にファシリテーターを務めていただいただけでなく、企画当初から丁寧にコミュニケーションを重ねてくれた 黒木 萌さん、そしてこの企画を黒木さんと共に進めていただいた 鈴木 悠平さん、そしてこのイベントにご参加いただいた皆さん、ほんとうにありがとうございます。
こんなにも多様で、切実で、捉え方によって見え方が変わってくるとともに、複雑な問題が絡み合ってゆく、そんな展覧会はなかなかないんじゃないなって、今回の対話を通じて改めて感じました。
僕は今回の展示を鑑賞して、絵の作品に対しての時間のかけられかたが、今の社会の中で生活している速度とあまりにも違う向き合い方に、深くて遠い距離感を感じました。
(15年描いてきた方の作品、8年習字を習って成果を見てもらいたいと出品された方の作品、1枚の似顔絵を書き上げるために1年以上費やされた作品、一つ一つのモチーフに、多大な時間と労力がかけられてきたことが想像できる線や色の密度やモノの描写にあふれた作品たち…)
このような時間の使われ方は、まるで自分の人生には向き合うことがなかったような長い長い時間レベル。異なる世界との「壁」というものを、僕はこの時間の感覚を通じて感じていたのかも、と振り返っていたりしています。
個人的には、「テーマ部門①「あなたへ」―たった一人に向けた匿名の手紙たち」という展示作品がたいへん貴重に感じられました。これほどダイレクトに心に響く表現にはなかなか出会えなんじゃないかなぁってほどで、なんというか、「あなたへ」という切り口を守る以外は、ほぼ素のままで差し出された受刑者の方々が抱いている生身の感覚がそのまま表現されているというような感じです。
この一つ一つの手紙を読み受けとることだけでも、とても(心の)体力が必要だったと感じました。(僕は2通読んだだけで胸がいっぱいになってしまい、とうてい全部読みきれなかった…)
なので、また会期中に改めて訪問して、一つ一つの手紙をじっくり読んでみようと思ったりしています。
刑務所アート展は、今日が初日でまだ始まったばかり。クライドファンディングは5/26で終了しましたが、展示会は6/14(土)まで行っているので、興味のある方はぜひサイトをみてみてください。