#020: 戦争の段階とは

#020: 戦争の段階とは

『未来の世界を想像するチャンネル』(8月15日収録)

8月15日というところで思い出すのは、
いろんな地域でも言ってるのかなぁと思うんですけど、
僕の住んでいる地域では、今日のお昼の12時に、
「今日は終戦記念日ということで、市民の皆さん、黙祷を捧げましょう」
という時間が流れました。
そういったところから、ちょっとイメージするところの話かなぁと思うんだけれども。

戦争、終戦。2025年8月。
今もロシア・ウクライナという長い戦争であったり、
あとはガザ地区の大変な状況、イスラエルとの戦争と呼べるのか、
そういう時代が、まだ続いていたりしますが…

僕は未来を想像するときに、
人間というものは、未来の世界の中ではちゃんと「戦争」というものに区切りをつけて、
役割を終えて、もうそれは人間には必要ないよね、ってちゃんと言える
人類としてそれが成り立つ存在
そういう未来があればいいな、ということを、すごい常々思いますね。

で、この前話した「スパイラル・ダイナミクス」。
自己の発達段階を示す8つから9つの、ものの価値観・見え方。

どういうところに属して、どう表現しているか、その人が。
っていうものの見え方が分かるモデル。

それをもとにして、
未来の人間はどの精神の発達段階に達しているだろうか、
そこを足がかりにしながら未来を眺める、
というふうな話をしたけども。

こういった、世界の中に「戦争」が起こりうるっていうのは、
スパイラル・ダイナミクスのほうで言えば、
どのあたりに当たるんだろうな、ということを、
ちょっとおさらいしようかな、と。

スパイラルダイナミクスの中には、8つの層があって、

まず「ベージュ」という本能的な段階から、
呪術的で、家族とか血縁、神、血統、そういったもので定められるものが一番大事になる、
部族的な「パープル」という段階。
そこから次に、3つ目の「レッド」という、いわば封建的な手段の段階。
で、4つ目には「ブルー」という秩序の段階があって、
5番目には「オレンジ」、科学的達成の段階がある。
その次の6番目の段階に「グリーン」というところで、共同体主義的な段階がある。

いわば、1 〜 6 までが「第1層」と言われるところで、
この第1層の中では単独では、それぞれ他の段階を十分に尊重できない。
いわば敵視してしまう。

グリーンであれば、それ以外の層を敵視してしまう。
オレンジであればオレンジ以外を。
ブルーだったらブルー(以外)、他の段階を十分に尊重できない。

で、この「第1層」から抜けて「第2層」になった時には、
それぞれの段階には、求められている役割があって、
全体の中から、そういった役割を見ていくことができる。

ただし面白いのが、この第1層のいちばん上、グリーン。
このグリーンをしっかり豊かにしていないと、
次の第2層というのはいけないよ、みたいな話もあった。

じゃあ、今日のテーマとして、
「戦争」っていうのはどのあたりの段階に当たるんだろうな、というところなんですけど。

少なくとも、人と争う・戦う、それを正義となす。
そこに対するのは、まず一つ目のベージュ。

ベージュはもちろん、古代的で本能的。
生存のための衝動なので、まず自らが生命を維持させないといけない。

そういったところで飢餓状態になるとか、
自分の命を守るのにいっぱいいっぱいなところであるので、
どうしても「闘争状態」になりやすい。

2番目のパープル、というところも、
ある程度、先祖とやりとりするとか、部族。
そういったもの、血統。
そういったところが、とても大切なものとして扱われるので、
「これ以外のもの」というものが、
敵対する相手にすぐなりうる。

3番目のレッド。
これも、そういったパープルのような呪術的、部族的なところから、
「自己」というものが初めて出現するんだけども、
この段階では本のほうによると、

力強く、衝動的で、自己中心的で、勇敢である。呪術-神話的な霊魂、龍、獣、特別な力を持った人々が存在する。封建的な領主が、服従し労働することと引き換えに、下層の者たちを保護する。力と栄光に基づく封建的帝国の基礎にある段階である。世界とはジャングルであり、危険や敵に満ちた場所である。征服すること、相手を出し抜くこと、支配することを好む。後悔したり、自責の念に駆られたりすることなく、最大限に楽しんで過ごす。(P151 『インテグラル心理学』以下同)

これがレッドという段階、っていうふうに書かれていますね。

なので、レッドという段階も、
とても戦争には向いている段階ですよね。
支配するか、されるか。
力があるか、ないか。
能力があるか。特別な力、選ばれた者かどうか、みたいなね。
そういった段階ですよね。

で、4番目のブルー。
ここになると、ある程度「方向性」とか「目的」を明確にしてくる。
自己というものが初めて出現したレッドの段階から、
そこからもう少し順応的な「規則」というものが出てくる。

ここでは本のほうで読んでいくと、

絶対的秩序が定める行動規範には従わなければならない。こうした行動規範の根底には、何が「正しいこと」で、何が「間違ったこと」なのかについての絶対的不変の原理が存在する。規範やルールを破れば、重大な罰を受けることになる。それは永遠の罰であることもある。(略)厳格な社会階層が存在し、父権主義的であり、あらゆることを「唯一の正しい考え方」に基づいて考える。「法と秩序」を重視する。衝動性は罪の意識によって抑制される。具体的で原理主義的な信念を持っており、その内容は字義通りに解釈される。絶対的秩序が定める規則に服従する。多くの場合、「宗教的」であるが、もっと世俗的ないし、無神論的な秩序や使命(ミッション)を有することもある。(P151-152)

といった形のものがブルー。
なので、絶対的なオーダー・秩序・正しい社会的な規範・ルール、
そういったものに守られていない、破った人間に対しては、容赦なく敵対する。
これも、戦争にとても近しい考え方というか、価値観というか、段階だなと。

こういったところで「私が正義であり、ルールだよ」というふうになった時には、
それ以外の他の地域・場所・国、そういったものがすぐ「敵」になる、
というのは容易に想像できるよね。

で、5番目のオレンジ。

オレンジは「科学的達成の段階」というところなので、
ここにおいてはブルーの段階の群衆心理から脱出して、
個人としての真理・意味、そういったものを探し求めるようになる、
というふうに書かれてますね。

その方法は仮説-演繹的、実験的、客観的、機械的、操作的であるーーすなわち一般的に「科学的」と呼ばれる方法が用いられる。世界とは、自然法則に基づいて円滑に動く合理的な機械である。世界の仕組みを学ぶことや、世界を自在に使いこなすことは可能であり、世界を巧みに操作することで、自分たちの目的を実現することができる。達成主義的な傾向が強く、特に(アメリカでは-著書のまま)物質的な利益を追求する傾向にある。(P152)

まさしく今の社会な感じだよね。

このオレンジにおいても、すでに群衆心理というものは離れてはいるけれども、
操作的であるとか、機械的であるとか、
それによって利益を得る・利益を追求する。
そういったところは、ブルーとオレンジが組むと、
とてつもない「国の強さ」と「戦争」になりそうな感じもしますよね。

オレンジのほうの最後のほうに説明がありますね。

世界とはチェス盤のようなものであり、ゲームに勝利した者は、敗北した者よりも高い地位と特別な報酬を得ることができる。市場において提携関係を結ぶ。地球の資源を巧みに利用し、戦略的に利益を獲得する。法人国家の基礎にある段階である。(P152)

ここのオレンジのところまでは、かなり「戦争をすることができる」
成熟(発達)段階にあるところなのかな、と思いますよね。

その次のグリーンになると、
戦争から少しずつ離れていくことができるのかどうか、というところですね。

この6の段階はグリーンというところで、共同体主義的。
ここは、「エコロジーへの関心が高い」とか、
「人間の精神は強欲さ・独断的な考えを分断された状態から解放されなければならない」

ここは、ちょっとまた違うところでね。
今までのブルーとかレッドとかオレンジとか、
そういったところの権力であるとか、闘争とか、ゲームであるとか、
そういったところからちょっと離れ、
その分断——そういったものはもちろん分断を呼び起こす——
そこから解放されなければならない、と。

大事なのは、冷たい合理性ではなくて「気持ち」や「ケア」である、と。
ヒエラルキー、階層的組織、ヒエラルキーに反対し、
横方向のつながりを形成する。
あとは、他者と対話すること・関わり合うことを重視する。

今の世界から少しでもいい世界になろう、
というふうに動いているような多くのNGOとか、
NPOとか、そういった団体というのは、
結構このグリーンの段階が多いのかな、というふうに、
ちょっとこの説明を読んでも思いますよね。

価値の共同体の基礎にある段階ですね。

平等主義的な傾向が強くて、階層的な見方・ヒエラルキー、
「誰が能力があるか」とか、「誰が物質的利益を得るか」とか、そういった階層的な見方に反対する。

多元的な価値観を持ち、現実とは社会的に構築されたものであると考え、多様性(ダイバーシティ)を重視し、多文化主義の立場をとり、相対主義的な価値システムを有する(こうした世界観は多元的相対主義と呼ばれることが多い)。(P153-4)

ということが書かれています。

なので、穏やかなものだし、温かな感情・思いやり・気遣い・ケア、
それで地球とかエコロジー、そういったものへの関心がある。

この辺りになると、初めて「戦争」というものに少し距離を置こう、
という精神に入ってくるのかな、と思います。

第1層が第2層に行くためには、
ここのグリーンがしっかりと成熟しないといけない、
というふうなことも書かれていたので、

ここのグリーンの段階に至る勢力が、
——勢力って言うとパワーゲームみたいだけどね——
ひとつ、どれぐらい増えていくか、ということも、
これから大きい話なのかな、と思ったりしますよね。

第2層になると、ここからちょっとまた違うところなんだけども、
イエローの統合的な段階とか、
ターコイズのホリスティックな段階とか、
そういったところがあるんですが、
前の「ティールの話」「スパイラル・ダイナミクスの話」のほうに
ちょっと戻ってもらえればな、と思います。

ちょっと「戦争を思う日」、8月15日というところから、
改めてこのスパイラル・ダイナミクスにおいて、

戦争とはどういう精神段階・成熟の段階において成り立ちやすいか。
どの段階に行くと、そこから少しずつ解放されていくことができるようになるのか。

そういった見通しが、このスパイラル・ダイナミクスという
大きなビッグピクチャーの中では見えるのかな、と思ったりもします。

 

インテグラル心理学
著者:ケン・ウィルバー(Ken Wilber)
出版社 ‏ : ‎ 日本能率協会マネジメントセンター