辻信一さんによる時間のシェア

辻信一さんによる時間のシェア

2020/10/17 真庭なりわい塾が主催するオンラインセミナーからのメモ。

真庭なりわい塾オンライン特別セミナー「アフターコロナを生きる、未来のあなたへ~7つの視座から明日を生きるヒントを探る~」

第2回:しあわせの経済~経済成長がなければ、私たちは豊かに生きられないのか
講師:辻信一(文化人類学者・環境=文化アクティビスト)

より

※太字・下線はニッタの個人的見解です。またメモによる文章を読みやすくするため、多少の言葉遣いを追加している場合があります。ご了承ください。


“あいだ”の消滅、というキーワード。

私たちの時代はこの“あいだ”が消滅することを、発展と呼んできた。

近代的な「経済の発展」とは、
文化の3つの側面(ローカル、コミューナル、エコロジカル)から、一つずつ、
それらの制約から解き放たれ、自由となって離陸する運動であった。

その結果生じたものは…
地域の消滅、コミュニティの瓦解、自然環境の破壊。
バラバラの個人が誕生し、それぞれが孤立していった。

「正しさ」は競い合う。
「フェア」は関係性の中でのバランス感覚。

交易、交換はむしろ人同士のつながりのため
「フェア」という、欠かせない感覚によって支えられていた基盤があった。

「シェアの経済」そこにいること、ともにあること。
…民主主義、エコロジーの原形がみえる。

スロー、スモール、シンプル
 → ローカリゼーション・・・しあわせの経済
フェア・シェアを軸とした「あいだの経済」

ミヒャエル・エンデのモモは耳を傾ける。
人だけでなく自然界へも耳を傾ける子ども。

大事なのは聴くことに時間をかけること。

自分の時間を相手とシェアすること。
時間は他者にギフトとして与えることはできない。

できるのは、共に時間を過ごすこと・時間をシェアすること。

311をなかったことにしようとする風潮、価値の分断がみられる。
職業における優先順位(エッセンシャルワーカーとブルシット・ジョブ)の問題。

民主主義をローカルの場で学び直す必要性がある。
民主主義は世界各地にあったもの。
「フェア」の感覚によって、異なる意見の人と折り合いをつけながら、どう付き合うか。

制度と主義を履き違えないこと。
価値を見出し、作り上げ、共有していくかという試みを、
子供の頃から行っていくことができることが大切。

住む場所を変わるだけでは何も変わらない。
(都市生活者のマインドで地方に行っても同じこと)

ローカルとローカルが横につながって本当のグローバルになる。

ローカルは孤立ではない。


この辻信一さんの講座で

もっとも印象に残った言葉が、

大事なのは聴くことに時間をかけること。

できるのは、共に時間を過ごすこと・時間をシェアすること。

でした。

まさに僕が今学んでいる

メンタル・ファウンデーションの講座での

心の土台を作り上げるための第一歩である

「相手の話を共感を持って聞くこと」につながるような、

思い描く未来の方角が、

一致したと感じられた言葉でした。

“あいだ”の存在が非効率という言葉によって追いやられ、

数字や結果だけが求められるように、

まるでその場その時だけよければよいと、

行動や選択肢がどんどんと近視眼的になってしまいがちな時に

「聴くことに時間をかける」という態度を尊重することが

難しくなっていくのも無理はないのでしょう。

辻信一さんが言われる「あいだの経済」において大切な

フェアの感覚、そしてシェアの実行は

このように「聴く」ことを尊重し、

相手とともに過ごす、という時間のシェアによって養われる

とても空間的かつ身体的な感覚によって支えられる、

古くて新しい人間観でもあるように感じます。