上野へ
今日、小笠原美環-ひとりごと(SCAI THE BATHHOUSE)、「ヴィルヘルム・ハンマースホイ」展(西洋美術館)を見る。
静謐な画面、抑制のきいた色調など共通点を見いだしやすい組み合わせです。
小笠原さんの方はより感情や感覚をストレートに画面から喚起させるような、ドラマティックな構図の切り口と画面のタッチが印象的。「崇高で孤高な空気感に柔らかな感性」とDMにはあったが、現代的なパーソナルな主題が感性として出ているように感じた。小さめの作品の方が好きです。
一方、ハンマースホイの100年経っても色褪せることのない緻密で美しい画面からは、「一人で世界を見ている」という作家の精神性の深さが堪能でき、ただ惚れ惚れ。。。僕がとても好きだったのは建築と風景を描いたコーナーにあった「聖ペテロ教会」「雪のクレスチャンスボー宮殿」「ゲントフテ湖、天気雨」。それらには梶井基次郎の小説「檸檬」を読んだときの感覚に近しいものを感じていた。
この作家は「一人で世界を見ている」ことを強く実感してその時代を生き、世界を見ていたがゆえに、後ろ姿の人物(妻)が作品の中で出てきたのだろう、そして世界を見ている自分そのものもやがて無化していく-それは自らを死者のように世界と距離をあけ、捉えてゆく-。。。
この二つの展示からは、平面、ペインティングという世界の尽きない魅力の再考、そして作家としての「美意識」という大切なものを改めて教わった。