芸術の力

結構前になるが、以前勤めていた映画製作事務所の監督が言ったセリフが、時々頭をよぎる。
「芸術は無力」
これである。
監督はドキュメンタリーを撮り続けている人で、今もイラク戦争以後の世界について真剣に思い悩んでいる。そこでイラクでの戦争やアメリカの姿を見ているさなか、監督が言った言葉がこれだった。映画もむろん芸術。そのうえでこそ、この言葉の意味の強さを思う。監督が自らに向かっていったテーマなんだろう。
僕は絵を描く。それは芸術だと、アートだと。
しかしそれが世界にとってなんなのかと、現実の世界の実状、現況とともに鑑みて語られるとき、今のそれはあまりにも無力、というかはなはだ無関係である。
人を動かすには人を感動させること。
監督がよく言っていたセリフだ。
人の原動力となることのできる「感動」、その力を信じたい。
だが安易な楽観に陥ってはおもしろくはない。
芸術は無力。これは現実世界のひとつの原点の言葉と思う。
ここから、
でどうするの?
が問われる。問われ続ける。。
四ノ宮監督の映画製作事務所
http://www.office4-pro.com/
映画「戦争と平和」HP

編集:10/26