人間中心から生態系を中心とした捉え方へ
昨日のメモで書き忘れていたところがありました。
ソーヤー海さんのレクチャーで、重要な視点としてあげられていた箇所です。
これまで持続可能性・サステナビリティなどを説明する際に用いられてきた
「社会」「経済」「環境」という以下のような3つの関係性の捉え方ではなく、
以下のような「生態系」の中に「社会」があり、
そして「経済」があるという捉え方が大切だという指摘です。
言われてみれば当たり前だなぁと思うものですが、
案外忘れている視点かもしれません。
また、同じような指摘を
カナダの環境学者のデヴィッド・スズキ氏がしています。
(こちらはグリーンピースの記事にあった図より)
国際環境NGOグリーンピース 「アベノミクスが破壊するもの」 より http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/dblog/2/blog/44810/「地球環境の中に社会が存在し、その社会をよくするために経済が存在する。これが大原則だ」
と話しています。
またデヴィッド・スズキ氏は、この「B」の図を応用し、
大枠の地球環境の中には、社会以外にも
「海洋系生態」「森林系生態」などが同等に存在することを指摘しています。
「ここに生態系という人間社会以外の社会も相互に関係しながら存在する。これも私たちは忘れがちだ」
これらの指摘は、いずれも僕たちが、人間だけを中心とした考え方から、
生態系の一部として存在するリアリティを土台にして考えることを促しています。
それは、「人間」という定義を再構築して、再び世界を把握することです。
と言っても、そもそも人間であり、それ以外ではありえない以上、
自分たちを中心とした世界として捉えていくことに、何ら疑問を抱けない場合もあるでしょう。
(私は私以外の誰でもない、私自身からしか世界を見ることができない、という哲学的、近代的な命題と混乱しそうですが、これらはおそらく全く別の問題構造でしょう)
また人間中心で世界を捉える思考は、
人間社会の安全性を再優先することが必要として、
増大が懸念される人口問題や食糧の安全保障などの議論に入る傾向がありそうです。
そこで「地球環境・生態系が危機に陥っているからこうした視点の変換が必要だ」と
声を大きく主張しても、
人間社会の問題ばかりが頭のなかを占めてしまい
人間以外の生態系が失われた結果について想像ができないために
「なんとかやっていけるはず」とあまり考えずにズルズルきているように思えます。
ここで思い出すのは、ずいぶん古いものではありますが、
セヴァン・スズキ氏が12歳の時に国連会議で話した
「どうやって直すのかわからないものを、こわしつづけるのはもうやめてください」
という一言です。
直せないまでも、それと同等の代用品を研究・開発している方向に
進んでいるような気もしますが、
改めてこの言葉を噛み締めておきたいものです。
画像credit: leafy