藤原辰史さんによるコロナ新時代の3つの思想
2020/9/19 真庭なりわい塾が主催するオンラインセミナーからのメモ。
「アフターコロナを生きる、未来のあなたへ~7つの視座から明日を生きるヒントを探る~」
第1回:パンデミックを生きる指針~歴史研究のアプローチ~
講師:藤原辰史(農業史研究者)
より
パンデミックが露わにしたこと
○ 新自由主義の限界
保健所の削減、医療・保険の民営化、派遣非正規雇用の限界(イタリアのロンバルディア)、コストカット、テイラー主義からカイゼンまで
○ 「エッセンシャルワーカー」替えのきかない人々の低賃金
グレーバー「ブルシット・ジョブ」本人が社会に影響を与えない仕事であることを知り、高給をとっている。
国民国家の限界
○ 人種(奴隷制の変形体)と資本主義の密接な関係
食肉工(ファーストフードが世界を食い尽くす)
○ 経済が止まることで環境が向上された
コロナ新時代の思想
1.植物の思想
中央集権的になっていない。非常にセンシティブに動く生物である。
根という知性的な動きー微生物を住まわせている・共生。
2.分解の思想
量産や消費の強制から脱し、「分解」者である。その影響はゴミ(分解できない)として生み出してきた。
原料とエネルギーを見直す。早すぎた時代(高速主義)。コロナで立ち止まることができた。
3.縁食の思想
ベーシックインカム:お金でなく資源をこそ提供
(新自由主義も同じように考えるが、小さな政府の形へ、他人への想像力がなくなる社会になっている)
あらゆる必需品(特に食・住・水・空気)から商品の枠組みを外す運動
└国家ではなく、地域でサービスを提供(ベーシックサービス)
→本当は尊厳であり土地である。
縁食とは:孤食でも共食でもない「縁食」(中間に位置する)
人間関係をデザインしない。
人間が居やすい「場所」を設計する。「居てもいいよ」くつろげる場
自治体のあり方
1,2,3を統合するものとしての、自治体の思想。
私たちらしさ(コモン=水、食、風景、土地)を守る
(給食を地域内で賄える運動)
食べるために仕事をしているはずなのに、食べることが適当にされている。
場というものは、「食」のあるなしで大きく違う。
ドイツやフランスではな6,000人とか1,400人とか。日本では大合併移行どんどん増えている(70,000人などの規模)→コモンが薄くなっている。
一律的な基準の数値ではなく、地域地域に合った規模。
お互いの顔を知っている規模。
住んでる人の意識。都市ではコミュニティが成立できていない。
自国主義に陥らないために。膠着させないための交流・交通。複数の集団に携わること。
中央集権的になっていない植物の思想というのは、
リゾーム化する動きとして自分には馴染みがあります。
特定の権力が全体をコントロールする構造は
それによってもたらされた価値(結果)を通じて評価されることもあるかもしれませんが、
それ以上に多くの排除されたものがあったように思えます。
分解の思想では、分解する、という自然の摂理で行われる速度を
今一度生活の中に取り戻すことの大切さへ繋がっていきそうです。
(発酵食品の見直し、食べている時間など)
縁食の思想にある
人間関係をデザインしない、という言葉にしびれます。
いてもいいよ、とその人がそこに居ることを
許可も必要なければ、無理にコミュニケーションもいらない、
そこにいる、そこで食べることができる場所…
そして私たちらしさ(コモン=水、食、風景、土地)を守る場所としての自治体、
それは、一人ひとりの手で生み出してゆく手触りのある社会なんですよね。