#007: eumoのトーク@八ヶ岳 地域通貨について
今日はですね、八ヶ岳のほうに来てまして。
八ヶ岳の南麓にある「キブツハウス」というところがあって、
そこで、地域通貨の“eumo(エウモ)”というものを発行・運営されている
アライさん(新井 和宏さん)という方と、
キブツハウスの村長さん、たきさわたいへいさん
そのお二人の対話のイベントに来ています。
中心となったお話は、もちろん地域通貨。
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地域通貨eumoの仕組みと「腐るお金」
(僕が)イメージする200年後の世界っていうのは、
通貨というのは今の形の通貨とは全く違う形にはなっているし、
そもそも扱い方は全く違うんだろうなと思ってはいるものの、
あまりはっきりとイメージできていなかったところがあったりしたんですけども、
今日、このeumoの話をお二人がされているのを聞きながら、
なんとなくその解像度が少し高くなったかな、という感じも思いました。
というのも、まずひとつ。
地域通貨のところで、このeumoと呼ばれている通貨の大事なポイントというのが、
「通貨が腐ってしまう」というか、期限があるんですね。
ずっと溜まってしまって「持ったもん勝ち」にならない。
普通、人間の作ったものとか自然物っていうのは、
どんどん放置していったりすると腐っていくけど、
お金だけは腐らない存在になっている。むしろ増えたりする。
今はそういう仕組みがあったりするんですけど、
地域通貨では腐ってしまって、有効期限がある。
なので、その期限内に使わなければいけない。
ちゃんと期限が決められていて。
なので、流通をはっきりと目的にしている通貨、ということがありました。
だからコミュニティの中に、いろんな関わりで、
どんどんどんどん地域通貨を循環させること。
それによって、誰もがギフトになれるし、
ものごとをギフトする側にもなるし、受け手にもなる。
そんな仕組みというものを、地域通貨を通してやろうとされている。
そんな感じでした。
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地域で「ニーズが満たされる」ということ
で、地域通貨でもうひとつ大事だと言われていたのが、
その地域の中で暮らしている人たちの、
いわば「ニーズが満たされること」がとても大切になる、ということも話に出ていました。
一つは、やっぱりその地域の中で循環させたいんだけど、
そこにないものが大きなニーズになってしまうと、
Amazonであるとか、外資系であるとか、
他の企業(地域外)にお金が流れていってしまう。
そうならないために、地域の中でしっかりと循環させていく。
その仕組みと同時に、地域の中で住んでいる人たちの
基本的な「ニーズがちゃんと満たされている状態」になる。
そのために、地域の中でいろんな形で生産がされている。
この2つが、地域通貨のとても大切な柱だ、というふうに言われていました。
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感謝が通貨になる
こういったところっていうのは、
地域の中で人々が循環して、
その循環が記号としての通貨になっていく感じですよね。
「ありがとう」とか、「これ作ってくれてありがとう、これ欲しかった」とか、
「これ素晴らしいね、ちょっと僕欲しい」「これ着てみたい」みたいな、
そういったひとりひとりのニーズが満たされたことに、
それを「ありがとう」と返す。
それがお金という形になって相手に伝わる。
で、伝えた側も、今度は違う形で「じゃあ僕はこういうことをやってるから、
それがまた向こうが喜んでくれたら、僕が受け手になる」。
そういう、人々の物々交換に近いかもしれないんだけど、
でも全く、物と物が同じ価値ではなくて、
一人ひとりの交流とかコミュニケーションによってデザインされているし、
そこに自由度がある感じがします。
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200年後の未来の通貨を想像する
で、このeumoのような地域社会のあり方、地域通貨。
そういったものっていうのは、今この現代から始まっている仕組みで、
コミュニティの中で使われる通貨として、応用はされ始めてはいるんですけども、
僕は、あくまでも「200年後の未来」というのを想像したい人なので、
これがその後どういうふうになっていくんだろうな、
ということをぼんやりと思いながら聞いていました。
それが、すでにもう、流通として可能性を持っている状態。
それが十分行き渡った世界ですよね。
それぞれのコミュニティ、
「分散型社会」って言われたりもしますけど、
いろんな人たちのつながりの中で、小規模でありながら、
つながりが保たれている人々の社会とか世界。
そういったものがお互いのニーズを満たし合いながら、暮らしてはいる。
でも、これだけで考えてしまうと、
すごい「閉鎖された社会」(ばかり)が
いろんなところに点在しているようにも思うんですね。
なので、そこで終わってしまうのは、もったいないし、ちょっと残念だし、
排他的になってしまいやすいし、
僕がイメージする200年後の世界とは、
ちょっとそこ違うんだろうなと思います。
なので、昨日ちょっとお話に出てきた「モビリティ(流通)」。
人がどういろんなところと動いていくのか、関わっていくのか、
っていうところも大きく変わっていくのかなと思います。
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人と人、地域と地域がつながる
当然、一つの社会の中で流通されているお金の量というものが
しっかりコントロールされることは大事だけども、
それと同じように、
その他のコミュニティとのつながりによって得られるもの、
それぞれの地域で大切にされている物産(品)とか、価値とか、
そういったものが、そのままの価値で交流・流通できる。
それを行うためには当然、
一人ひとりのモノが動く、人が動く、交流が生まれる、
というところが必要になってきますよね。
で、僕が思う未来の世界っていうのは、
人がひとつのコミュニティとか、
ひとつだけではない関わり方。
多様に、いろんなフェーズによって関わりが変わっていく。
そういったところがあるんだろうな、と思ったりします。
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出会いと循環が大きな鍵
それこそ、いろんな場所に移り住んでいく、というのもあるし、
人によっては一箇所に住む、定住する生き方もあるし。
そこがもっと、いま以上に自由に選択できるし、
その余地がある、っていうところなのかなと思います。
で、そうすると、何が(より根本的に)問題なんだろうな、と思うと、
やっぱり「人がどれと(何と)出会うか」、「どこと出会うか」
(何が)どこに行き渡るのか。
なんかその、「配給」「マッチング」
ここが、究極的にうまくいっていないのが今の世界で、
そこが、まったくストレスなくつながっている社会。
これが、僕が思い描く理想の、未来の世界なのかな、と思ったりもします。