5.17 Night Stand
“Night Stand” Steve Paxton + Lisa Nelson Dance Project
スパイラルホールにて
C.I.(コンタクト・インプロヴィゼーション)というものを聞き知ってからすぐにこの公演の情報に行き当たったのだが、大丈夫だろうとチケットをとらずにいたら、いつの間にか完売。当日券で見ることしかできなかった。それぐらい人気だったようで、会場はほぼ満員。(もっとも会場となったスパイラルは収容人数自体も決して多くなく、たぶん200人ぐらいかもしれない)
当初ネットでCIのことを検索したとき、「体重のやりとりを行ないながら2人~集団で即興的に動く即興(インプロヴィゼーション)の形式」というのがあり、また日本の武道や合気道などの動きにも影響されたコンテンポラリーダンスという事前情報から、出演は2人だけだけど、結構激しい動きの舞台なのかと想像していたが、(こんな感じ http://www.geocities.jp/sholoverfg/cn9/pg280.html)とても静かな―静謐な―舞台だった。
時間は1時間ぐらいなのだが、個人的にはほとんど2人の動きだけだった前半と、モノが加わりだした後半とに分かれているように感じられた。そして前半のほうが圧倒的に面白かった。
舞台上にいる2人が、距離をとり、ほとんど触れ合うことなく、小さくかわいらしいような動きを繰り返しながらその空間全体の空気を変えていく。そしてお互いがそれぞれに影響を与え与えられ、その感応によって自由に次の動きが作られる。まったく無関係のようにみえて、2人は常にリンクしており、お互いの間には分かち難い緊張と弛緩の密度が生まれていた。その心地よさとその距離感と応答による静謐さは、このダンスが人の動きを見るというよりは、動きによる空気を見るものなのだということを示していた。
動きはむしろ主役ではない、舞台上で演者による動きによって生み出される空気、空間をこそ感じ味わうことがきっとこのダンスの醍醐味なのだろう。その場合サウンドも空間を作り出す大切な要素となる。確かに演者の動きを妨げたり、意味を加えたりするようなものはほとんどなかったように思う。
しかし舞台では次第に様々なモノが動きを感応させる新しい要素として入りだすようになると、正直自分は眠たくなった。人同士だけだったときの自由さと愉快さ、作られる空気の密度が好みではなくなっただけかもしれないが。何度となくうつらうつらとなって、いかんいかんと目を覚まして見てみるが、また眠くなる。そうしているうちに舞台は終わってしまった…。
演者だけのときは自由に解釈ができる奥深さがあったように思えて感動していたけど、モノが入りだしてからは、なにかそのモノの存在価値が舞台をじゃましているようで、受け取れる意味合いが狭隘になってきたような気がし、ただ見てるだけ。動く舞台や着物やバケツが出てくる後半はほとんど記憶がないぐらい…。
でもこの舞台を見れてよかったです。前半だけでも十分見応えありましたもん!
C.I.への興味とともに体を動かすことの興味もでてきたし。