9月2日
さて、「街場の戦場論」に戻りますが、
この本では、内田さんが日本をどうのように捉えているのかといいますと、
「日本政府には政策決定権がない」ということをかなり明確に話しています。
これは、先日書いた「矢部宏治氏と孫崎享氏の対談」でも同じことが言われていましたが、
そこでこの本で引用されている、オリバー・ストーン監督が2013年広島で講演した内容に集約されています。
「あなたがたはアメリカの衛星国であり、従属国である。
経済的には大きな実力を持っているにもかかわらず、
あなたがたはいかなる立場も代表していない。」
僕たちは、第二次大戦が8月15日に「終戦」したと知っていますが、
それが、単なる「戦争が終わった日」として考えるような気分になっています。
ですが「戦後史の正体(著:孫崎享)」でも書かれているように、
日本は1945年9月2日に降伏文書に調印し、そしてもちろん敗戦国として終戦しています。
この9月2日という日付もそうですが、
「終戦記念日」というもので終戦をクローズアップされているために、
「敗戦国」としての日付を忘れています。
少なくとも僕は、「戦後史の正体」を読んで、このことにまず衝撃を受けました。
内田さんが書くように、
戦前の「大日本帝国憲法下の臣民」から、
戦後の「日本国憲法下による国民」への
引き継ぎがうまくなされていないという断絶が、
戦後以降、深くこの国の空気を作り出しているという指摘に僕はうなだれてしまいます。
せめて、敗戦国として終戦した、1945年9月2日という日付だけでも
忘れることなく、とどめておきたいと思いました。