Cargo Tokyo-Yokohama
12/10 Cargo Tokyo-Yokohamaを体験。
「人々の記憶や想いを採集し、鋭くユーモラスなパフォーマンスに変換するドキュメンタリー演劇の新風、リミニ・プロトコル。今回のテーマは「物流」」
観客の僕らは、改造されたトラックに貨物として乗車し、東京から横浜までの貨物路線をひた走るトラックとともに終着地の横浜まで約二時間の旅にでた。
車両の片側だけマジックミラー加工されたトラックの側面に向き合い、移動する場所・風景をトラックと共に体験し、所々ではそこで実際に働く人たちがこの舞台の役者として登場する。トラックがふと止まったかと思うと、その正面に、そこで毎日働いている人が、僕ら観客に向かって仕事の内容などを紹介するという演出はとても楽しく感動的!(ある場所ではその方々の本職の仕事のスケジュールで登場ができなかったシーンなどもあったが)
またデコトラの登場もおおいに観客をわかしてくれた。突然並走してきたときには、そういうトラックがいてもおかしくない世界だから日常なのかこの演目の演出なのか分からない。まさにその現実が演劇でもあるような。その後ちゃんと別の場所で紹介してくれたので演出と分かったのだが。
きっとこうした設定は一歩間違えば、このトラックや流通で働く人たちについての社会勉強になりかねない。案内役のトラック運転手さんたちのラフなトークと共に、風景に突然現れてはトラックと並走する自転車や歌手の登場、そしてスッっとトラックに導かれて登場する現場で働く人たちなど、こうした軽やかな演出の力がそうさせない楽しさと高揚感を与えてくれる。
現実を現実のままにしつつも、少し趣向と演出を加えることで、現実が演劇となりうることを見せてくれた、その手法、その着眼点!!
そしてこの舞台のもう一つの魅力は、移動する間でかいま見れる壮大な貨物運搬の世界/風景。東京湾の海、そして次第に暮れ行く冬の東京横浜間の夕日、夜景が美しい。こんな美しい風景の中を運送の人たちは走っているんだと、不思議な感動を覚えたりもした。
風景を共に旅することで、流通の世界に紛れ込んだかのような感覚と、その美しい風景と愉快な演出で、終わったあとには夢のような世界だったというような浮遊感/幸福感に包まれました。いや~思い出しても最高。