art-works

hole vision

僕らが生きていることは、これまで存在してきた無数の母父の、祖先たちによって続けられてきた、親から子へと続く命の連続性だ。僕はこのいわば当たり前すぎることを、ひとつのビジョンを通じてまざまざと実感した。

そのビジョンとは、「自分が生きているということはつまり自分の母父がいた、さらにその母父たちにもそれぞれの母と父たちがいて、さらにその母と父たちにもそれぞれの母と父がいて…」という命の連続性が、自分を含め、僕の周りにいる人たち、街を行き交う人たちすべてがそうであるということを想像しているうちに、ぱっと目の前に浮かびあがった巨大な「穴」である。
その深く、どこまでも深い「穴」。吸い込まれるほどにぽっかりと、おそらく命の起源という不可解な場所へと続く「穴」。始まりがいったいどこなのか分からないほどに、延々と果てしなく、時代も歴史も突き抜け超えたこの命の連続性が、僕たちを今につなげているのだと。

僕という存在、あなたという存在は、そうして続けられてきた果てしない命の連続性を、命の起源を指し示す、確かなシンボルであり続ける。