#023: 地域環境とともにある住宅

『未来の世界を想像するチャンネル』昨日(#022)「地域社会圏主義」という
本のテーマとなっていることを一つ二つ お話ししながら、
そこに紐付けて、ちょっと未来の世界をちょっとイメージした、ということをやっていました。

ざっと簡単にご紹介すると、コミュニティ、そういったところの話になるんですが、
今、僕らがこうやって住んでいる世界では、
わりと一つの家族に一つの住宅、っていうことが、もはや当たり前になっていますよね。

この「地域社会圏主義」という本では、
それを覆す形で、一つの集団の中で成立する建築、住宅、
そういったものを提案して、それによって、

「一家族=一住宅」というものではない、建築のあり方、そして人の暮らしのあり方、
そういったものを提案していたりするんですが。

昨日お話しした中では、言えば、
一家族一住宅、それが必ずしも家族を前提としないという話であるとか。

あとは、一家族一住宅というものが、プライバシーとセキュリティを中心に設計されていた、
中心原理となっていた。

それが、それに対して地域社会圏においては、
相互に、そこに住む人たち同士の相互関係を中心原理とする、
というところの話を昨日しています。

で、ここから残り 7 つぐらいあるんですが、
そこからちょっとピックアップしながら読んだり、

その中で、今僕が思いつく未来の 200 年後の世界って、
それにどうあるのかな、近しいのかな、ということを、
思いつくまま話そうかなと思います。

一家族一住宅と周辺環境への無関心

まず、ここにある 3 つ目。

「一住宅=一家族」が周辺環境、周辺地域社会に対する無関心によって成り立っているとしたら、「地域社会圏」は周辺環境とともに計画される。(P007, 『地域社会圏主義』INAX出版)

地域社会圏では、周辺環境とともに計画される、とあります。
今の一家族一住宅っていう中で考えていくと、
周辺環境や周辺地域に対する無関心によって成り立っている。

このことに、なんか、ぼく個人としてはとても、しっくりくるなぁ、という感じはします。

新しい家が、ある一つでぽつんと出来上がる。
今までこれは違うお家が、それこそ一軒のお家だったところが、
一度なくなって更地になって、その後、数週間、数ヶ月たてば、三軒四軒の新しい家になっている。

それによってまた新しい人たちが、それぞれ一つの住宅に一つの家族、
っていう形で割り当てられる、という。
そこに建てられた家というのは、あくまでも立地とか、その土地、
あとは今だったら交通機関、
あとはショッピングや学校や病院、そういったものがどれぐらいアクセスがいいのか。
そういったところから値踏みをされて、その地域の中に家というものは、住宅というものは成り立つ。

これは確かに、周辺地域社会に対するものがあるし、
ここで言われている周辺地域、周辺環境というものが、
今挙げたような、駅から何分なのかとか、
病院から何分ぐらいで行けるのか、学校は徒歩何分ぐらいのところにあるのかとか。
ショッピングセンター、郵便局はどれぐらい近いのかとか。
こういった消費をベースにした場所。そこにとってアクセスが有利かどうか、という計算でしかなく。

土地に染み込んでいるもの

その土地というものは、
そういったものでは目に見えない、もっと奥の要素が関わっている。

単純に言っても、そこの地域にある文化。最も目につきやすいのはお祭りとかね。
それぞれの、その街の中の交流だとか。

そういったしがらみを、戦後の中ずっと、言えば避けるように、
個人主義優勢でずっと社会が進んできたわけだし。
僕個人も、それは大変ありがたい、楽に過ごせた、っていうのもあるんだけども。

言えば、新しいその世界の中においても、一人一人が孤立して、孤独であって。

自分と隣は別人で、隣の住宅にどんな人が何をしてるか全く知らない。

そういったところっていうのは、やっぱり不自然なところが出てくるんじゃないのかな、と感じたりもします。

別にだからといって、いきなりお隣さんとね、仲良くなれるというわけでも全然ないんだけど。

それでも、これから未来というのを考えたときに、
今の現代の中で取り残された価値っていうのが、
とても大事な意味を持って再び立ち上がってる、そんなイメージがあるので。

こういった住宅とか建築とか、人が住み暮らす。

人が出会って、新しい生命が誕生して育っていく。

そこの環境っていうものには、その土地の地形もそうだし、天候もそうだし、
これまであった歴史や文化っていうのが、むしろとても大きい要素になる、っていうのを、
きっと改めて気づくところにはなってるんだろうなと思うし。

なので、ここで言われている地域社会圏において、
周辺環境、周辺地域に対する無関心、そこから離れていく。

しっかりその環境とともに共生というか、
「この文化の中でその土地の中で、私たちはどういうふうに暮らしていこうか」っていうことが、
設計され、生み出されている。

そういったところは、とても未来的だなと思ったりします。

なかなか一個一個をゆっくりと進んでいく感じで…
どういうふうに、この家族を超えた新しい、人の暮らしのあり方のベースのところですよね。

ゆっくりと僕も想像を深めていきたいな、というふうに思いますので、
よければまた明日も聴きに来ていただけると嬉しいなと思います。